昼過ぎの眠気に悩まされる人は少なくありません。特に14時頃になると強い眠気を感じることがあり、多くの人は「ランチを食べたから眠くなる」と思いがちです。しかし、これは誤解です。
実際には、人間の生理機能として「アフタヌーンディップ」と呼ばれる現象があり、これはランチを食べるかどうかに関わらず発生します。つまり、食事を抜いたとしても14時頃の眠気は避けられないのです。
ランチ後の「眠気」とは何か?
正確には、ランチ後に感じるのは「眠気」ではなく「気だるさ」に近い状態です。特に重い食事を摂ると消化のためにエネルギーが使われ、覚醒作用を持つオレキシンの働きが抑えられる可能性があります。そのため、午後に眠気を感じやすい人は、消化の負担が少ない軽めのランチを選ぶのが良いでしょう。
カフェインの効果と正しい摂り方
「眠くなったらコーヒーを飲む」というのは一般的な対策です。カフェインには覚醒作用があり、体を活動モードへと切り替える効果があります。
特に、温かいコーヒーは体温をわずかに上昇させ、覚醒度を高めることが期待できます。カフェインを含む飲み物はコーヒーだけでなく、緑茶や紅茶、抹茶、チョコレートやココアにも含まれています。特に抹茶はカフェイン含有量が高いため、試してみる価値があります。
「噛む」ことで眠気を防ぐ
噛むことも覚醒効果を高める方法の一つです。実験によると、固形食をよく噛んで食べるマウスは、昼夜の行動にメリハリがあり、活動期の覚醒時間も長いことが分かりました。一方、噛まずに食べられる粉末状の餌を与えたマウスは、覚醒時間が短くなりました。
このことから、ガムを噛むことで覚醒効果が期待できます。特にミントやカフェイン入りのガムは、カフェインの刺激と噛む動作の両方で眠気対策に役立つでしょう。
会議中の眠気対策には「発言」を
会議中に眠くなる場合は、「発言する」ことを意識すると良いでしょう。会話は覚醒を促す効果があり、積極的に質問したり、議論に参加したりすることで眠気を防ぐことができます。もし話を聞き逃したと感じたら、「すみません、もう一度お願いします」と発言するだけでも、意識を覚醒させるきっかけになります。
昼寝の効果とリスク
最近、短時間の昼寝がパフォーマンス向上に役立つと言われています。しかし、昼寝の時間には注意が必要です。
ある研究によると、30分未満の昼寝をする人は、昼寝の習慣がない人に比べて認知症の発症率が約7分の1に減少することが分かりました。また、30分から1時間の昼寝でも発症率は約半分に低下していました。
一方で、1時間以上の昼寝をする人は、昼寝をしない人に比べて認知症のリスクが2倍に増加していたのです。これらの結果から、昼寝は30分未満に抑えるのが理想的だと言えるでしょう。
質の良い睡眠を確保することが最優先
昼寝が効果的だとしても、日常生活の中で昼寝の時間を確保できる人は限られています。そのため、「昼寝で対策する」よりも、「夜間の睡眠時間を6時間以上確保する」「睡眠の質を向上させる」ことを意識する方が現実的です。
日中の眠気を防ぐためには、食事の内容、カフェインの活用、噛む習慣、積極的な会話、適切な昼寝の取り方などを工夫し、質の良い夜間の睡眠を確保することが重要です。