天皇代替わりに伴い文仁親王(秋篠宮、54)が皇位継承順位1位の皇嗣(こうし)になったことを国内外に示す「立皇嗣(りっこうし)の礼」が8日、皇居で行われた。
立皇嗣の礼は当初、4月19日に実施される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で約7カ月延期された。 宮殿「松の間」で行われた、立皇嗣の礼の中心儀式「立皇嗣宣明(せんめい)の儀」には、秋篠宮家の長女、眞子さま(29)や次女の佳子さま(25)をはじめとした成年皇族のほか、三権の長や閣僚ら46人が参列した。共同通信によると、参列者のほとんどがマスクを着用し、ほかの参列者と距離を保っていた。
天皇陛下(徳仁さま、60)は「本日ここに、立皇嗣宣明の儀を行い、皇室典範の定めるところにより文仁親王が皇嗣であることを、広く内外に宣明します」と述べられた。 これに対し、秋篠宮さまは「立皇嗣宣明の儀をあげていただき、誠に畏れ多いことでございます。皇嗣としての責務に深く思いを致し、務めを果たしてまいりたく存じます」と決意を述べた。 菅義偉首相(71)が祝辞にあたる寿詞(よごと)を読み上げた。
「皇嗣殿下は、妃殿下とともに、天皇、皇后両陛下や上皇、上皇后両陛下をお支えになられ、被災地ご訪問や国際親善をはじめ、皇室のご活動に真摯(しんし)に取り組まれてこられました。国民は、こうしたご活動を通じて、両殿下が人々に親しく接せられるお姿に敬愛の念を抱いており、こうして立皇嗣の礼が挙行されますことは、こぞって喜びとするところであります」という内容だった。
また、宮殿「鳳凰の間」では、天皇陛下が「壺切御剣(つぼきりのぎょけん)」と呼ばれる皇太子の守り刀を、秋篠宮さまに授けた。 2019年4月30日、当時の天皇陛下(現上皇)が退位し、徳仁皇太子が同5月1日に新天皇に即位した。明仁天皇は健康悪化によって公務を果たすことができないと感じ、2016年8月にお気持ちを表明する異例のビデオメッセージを公開していた。
天皇の譲位は202年ぶりだった。
1947年に制定された皇室典範では、父方に天皇の血を引く「男系男子」のみによる皇位継承が定められている。
天皇陛下の子どもは娘の愛子内親王1人だけで男児はいない。法改正を求める声があるが、現状は愛子さまは天皇にはなれない。
長年の男系男子の不在により、政府は2004年、王位継承資格者を女性皇族に拡大できるよう法改正への取り組みを開始した。しかし2006年に秋篠宮夫妻に悠仁親王が誕生したことから、女性天皇に関する議論は保留となった。
仮に将来、悠仁親王に男児が誕生しない場合、皇位継承をめぐる問題は再燃する。女性天皇を可能にする法改正議論は今のところ保留されているが、政府が検討を再開する可能性もある。