台湾東部・花蓮県で2日に起きた台湾鉄道の列車脱線事故で、列車と衝突したトラックを使用していた工事現場の監督は4日、「深い後悔の念」を表明した。検察当局は、線路脇の斜面を滑って線路上に落ちた工事車両と列車が衝突したのが脱線の原因とみている。
現場監督の李義祥氏(49)は4日、「深く後悔している」、「心からおわび」申し上げたいと述べた。 線路近くの工事現場に止めてあった李氏のトラックは2日午前、線路上へ転落し列車と衝突した。この脱線事故で少なくとも50人が死亡し、200人以上が負傷した。 李氏は、台湾の山岳地帯を走る東部幹線に地滑りなどの危険がないかを定期的に点検するチームの一員だった。同氏は列車と衝突したトラックを運転していたとみられる。 先週末に取り調べを受けていた李氏は一時保釈されたが、逃亡の恐れがあるとして4日に再び勾留されたと台湾メディアは報じた。李氏には犯罪歴があるという。 李氏は警察に連行される前に、自宅前で報道陣に対し声明を読み上げ、事故調査に協力して「自分が取るべき責任を取る」と述べた。
台北から南東部の台東へ向かっていた8両編成の列車は、線路に転落した工事車両と衝突し、トンネル内で脱線した。 この列車には、約500人が乗っていたとされる。混雑のため、多くが車内で立っていたとみられる。 台湾はこの日、清明節の連休の初日だった。台湾では清明節に、先祖の墓参りに出かける習慣がある。 AFP通信によると、生存者の中には家族全員を失った人もいる。台湾は3日間、喪に服すと宣言した。 現場では救助隊が今もなお、慎重にトンネル内の列車の撤去作業を進めている。今後さらに死者が増える恐れがある。
台湾の運輸安全調査委員会の楊宏智主任委員はAFPに対し、捜査官が列車の記録装置や前方車両の監視カメラ映像を調べていると明かした。 「列車の乗客は警笛が鳴っていたと証言している。列車の運転士が線路上に何かがあるのに気付いたと考えられる」と、楊氏は述べた。 そして、死亡した運転士は必死に事故を回避しようとしていただろうと付け加えた。
「衝突までの時間はせいぜい10秒程度しかなく、運転士が急ブレーキをかけるには十分な距離はなかったと考えられる」